建設業界のDX状況は?
DXが進んでいる企業を知りたい。
これからどんなDXが推進されていくか知りたい。
こういった疑問に答えます。
✔ 本記事の内容
- 建設業界のDX状況
- 特にDXが進んでいる企業
- DXによる業界の今後
この記事を書いている私は、大学で電気情報学科を卒業し、ゼネコンに入社後、設備技術員として設計・積算・工事と経験してきました。電気情報学科から建設業界に入る人間は少ないせいか、ITを使って仕事をする事を当たり前と思っていたことが通じず、周囲のITリテラシーが低いことに困惑していました。ですが、DXに注目が集まっている今日において、ようやく自分の力が発揮できると感じ、このサイトを立ち上げました。10年の長い間、「この業務はITを使い業務変革すれば楽になる」そんなことを考えながら働いてきましたので、今、スーパーゼネコンが取り組んでいるDXの内容もインターネットにある僅かな情報からでもある程度、推察する事ができます。そんな私が、DXについて解説します。
1.建設業界のDX状況
建設業界では、人材不足と生産性向上を達成する為に空前のDXブームが起きています。ですが、建設業界にはITセンスがある人材が少なく、DXをどの様に業務フローに落とし込んでいくかが見えていない企業が多く、上手く導入できていない現状があります。まずは建設業界が主に取り組んでいるDXの内容を紹介します。
3DCADを使用した業務改革を模索
3DCADのソフトである、revitやrebroなどを使用したゼネコンの業務改革が今後加速すると思われます。数年前までは3DCADソフトの機能が限定的でうまく業務にマッチするものではなかったのですが、今はかなりゼネコンの業務に沿ったソフトが開発されてきていてスーパーゼネコンではすでにソフトに沿った業務改革が完了している様です。
3DCADで特に主流となりつつあるrevitやrebroは図面の載せ替えが不要となったり、建築図データが1つで管理出来たりと設計部署に所属する方は特に大きな業務改善となるでしょう。また、reboroでは設備に関してですが、施工図レベルの作図やダクトの風量シミュレーションなど高度な機能があり、時代の最先端を行っています。
今後はこれらの機能をフルに活かした業務フローの改善が業界全体で行われていくでしょう。
書類の自動入力
ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)、通称RPAという機能により、人がパソコン上で日常的に行っている作業を、人が実行するのと同じ形で自動化します。この機能により、人が書類を作成する手間を無くす事ができ業務効率化ができます。建設業界は普段の業務量も多いですが、書類の数も多く問題となっています。この機能により書類の見直しや書類の自動化が今後進んでいくでしょう。
ロボット開発に着手
国土交通省の調査によると2025年までに65歳以上の作業員40万人以上が引退すると予想しています。そこで建設業界はロボットによる生産性向上を推進しています。ロボットは開発費も高くスーパーゼネコンが協力し合って開発しています。開発内容はパワースーツの様な作業員の筋力を補助するロボットや、ロボット自体にさせるものなど様々です。スーパーゼネコン以外のゼネコンはここで大きく技術力の差が今後開いていくと考えられます。
こればかりは資金力が物を言うので、スーパーゼネコン以外の会社はロボットが開発され普及した後に似たようなロボットを数年遅れで開発なり買い取るなりして導入追従していくのがコストパフォーマンスが最も高く効率的な方法と言えるでしょう。
2.特にDXが進んでいる企業
建設業界では、DXを真っ先に制した会社が今後勢いをつけていくと考えられます。では、建設業界でDXが特に進んでいる企業はどこでしょうか。解説していきたいと思います。
DXが最も進んでいるのはスーパーゼネコン
結局のところ資金力があり、人材も豊富なスーパーゼネコンが最もDXが進んでいます。ではどの程度DXが進んでいるのかというと、まず3DCADを取り入れた業務改革は完了し、浸透を待っている状態まできている様です。ほかには、社内の情報管理をシステム1本で管理する社内システムの一本化に取り組んでいたり、専門部署を設立しビッグデータを用いたAIの利用を検討し、新たなビジネススタイルを模索している状況です。
- 3DCADを取り入れたDXがほぼ完了
- 社内システムの一本化をITコンサルを入れながら取組中
- 専門部署を設立しAIによる新しいビジネススタイルの模索
スーパーゼネコン以外は、まだ上記の状態まで至っていません。DXの取組みが始まっていない企業もあるぐらいです。ですが今後、ほかの企業もDXの重要性に気づき猛追していくと考えられます。
DXはビジネススタイルに大きな変革を伴います。「なぜスーパーゼネコンはそんなに早く変革ができるのか?」そう言った疑問に答える為に、各スーパーゼネコンがどの様にDXを推進しているのか、1社ずつ分析していきます。
各スーパーゼネコンが取り組むDXの特徴
竹中工務店
竹中工務店は、社長を委員長とした「ワーク・ライフ・バランス委員会」を立ち上げ、経営者自らがDXに取り組むことで、率先して同社のビジネススタイルを変えようとしています。現場から上がった様々な「働き方」に対する意見を吸い上げ、実のあるDXを実施しています。
またICTを導入し、デジタルでの情報管理を行い、社内の設計から工事、維持管理に至るまで全てのビジネススタイルを変革するとともに、社外の協力会社を含めた生産性の向上を図っています。
- 社長直轄でDXに取り組む
- ICTによる情報のデジタル化とビジネススタイルの変革
鹿島建設
鹿島建設では、労働時間を削減するため、時間外労働の削減、ルーティンワークの洗い出し、残業の事前申告の厳正化を行っています。各社員はあらかじめ行動予定表をつくり、原則、時間通りに動きます。並行して各社員の業務配分を見える化することにより、業務の効率化を図っています。
また鹿島スマート生産ビジョンという取り組みで、作業の半分はロボット、管理の半分は遠隔、全てのプロセスをデジタル化というビジョンを定めています。具体的には、溶接を自動でできるロボットやドローンによる巡回、遠隔での施工管理を行うなどの技術やシステムを使った取り組みを行っています。2025年の実現を目指しています。
- 業務の見える化による労働時間の削減
- 鹿島スマート生産ビジョン
大林組
大林組では、iPadを導入し、それまで紙で行われていた確認・記録作業などを電子化しました。さらにストレージサービスを導入し、データ管理も一元化することで、誰でもどの端末からでも情報を共有できるようにしています。
また各種アプリーケーションを活用し、日常業務を効率可しています。朝礼や新規入場者教育、会議システムといった日常業務の効率化にも成功しています。
- データ管理の一元化
- 通常業務のDX
清水建設
清水建設では、ロボット導入による作業効率化に取り組んでいます。資材の搬送をロボットで行うことにより、作業効率を上げ、ロボットが稼働する工程に携わる人員の数を半減させることを目指しています。ロボット施工・IoTで技術連携している鹿島竹中連合に清水建設が2020年10月21日に参画しています。
またEラーニングによる教育体制を強化し受講率100%を達成しています。国際支店を含む各事業部門でも、コンプライアンス研修などを実施しています。
- ロボットによるDX
- Eラーニングの導入
大成建設
大成建設では、IoTやビッグデータ、AI等を活用することにより、施工の効率化・自動化を図っています。
またEラーニングによる教育体制を強化し受講率100%を達成しています。国際支店を含む各事業部門でも、コンプライアンス研修などを実施しています。
- AIの導入
3.DXによる建設業界の今後
世界の中で日本は、ITの活用が特に遅れています。さらに日本の中で建設業界が特にITの活用が遅れています。ですが、日本は今ようやくITの重要性に気づきだし変革に動き出し、建設業界も遅れた分を取り戻す勢いでDXが進んできています。
建設業界は現場主義で、理不尽な事もマンパワーで仕事を収めるということ。これが一番重要でした。今後は、マンパワーを掛けずにITを利用していかに楽にスマートに仕事を収めるかという事が重要となってくると思います。時代が何を重要視しているかを見定めることで、今後の業界の方向性が見えてくると思います。
いかがだったでしょうか。今回は建設業界のDXの状況を解説しました。建設業界に興味がある方や働いている方々も激動の時代を生き抜くヒントになれればと思います。DXを強く推進している企業で働く事が生き残る近道であるとも言えます。転職も検討してみても良いかもしれません。私が利用した転職エージェントを参考に載せておきます。
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