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建設業はDXで本当に業務効率化できるの?

そもそもDXで本当に業務効率化できるの?
できるとすれば、一番効果があるDXはなんなの?
どんな風に取り入れればいいの?

  

こういった疑問に答えます。

  

✔ 本記事の内容

  1. DXで業務効率化ができる理由
  2. 建設業界で最も効果的で初めに導入するべきDXとは
  3. BIMのDXを会社に取り入れる方法

この記事を書いている僕は、大学で電気情報学科を卒業し、ゼネコンに入社。設備技術員として設計・積算・工事と経験してきました。10年間、「この業務はITを使い業務変革すれば楽になる」そんなことを考えながら業界の仕事の仕方を学んできたので、今、スーパーゼネコンが取り組んでいるDXの内容もインターネットにある僅かな情報から推察する事ができます。そんな私が、建設業界のDXについて解説します。

  

1.建設業がDXで業務効率化ができる理由

建設業で働いていると、DXという言葉は聞くけど働き方はまだ何も変わっていないし、現場は今まで通りのやり方だし、DXなんて名ばかりで業務効率化はできないんでしょ、と思うかもしれません。ですが、DXで業務効率化はできます。その理由をまとめました。

 

業務の自動化

DXで業務効率化できる理由は、業務の自動化ができる為です。例えば、今まで図面の隅から隅まで落ちが無いか整合性が取れているか、人間が確認していたものをソフトを使い自動で確認したり、計算を手作業で行っていたものを自動でシミュレーションしたりでき、検討作業や確認作業、修正作業の時間が削減できます。また書式の決まった書類は自動で作成できたり、人間のやる作業量を大幅に減らせる点が、業務効率化に大きく寄与します。

  

情報の集約化

DXはアナログ情報をデジタル化する事で情報が集約でき、様々な事に利用できます。例えば、図面情報や現場の状況を全てデジタル上で認識させることで、常にどこからでもいつでもどの様な視点からでも確認できるようになります。そうする事で、PCやタブレットを使用しリアルタイムで図面情報や現場の状況を確認でき一人一人の行動を効率的に制御できます。また、情報の共有により知識の偏りも抑制でき、施工不良の削減や現場監督の質の底上げにも役に立ちます。

 

新しいビジネスモデルの確立

DXは、業務の自動化と情報の集約化を応用する事で更に高度なビジネスモデルが確立でき業務効率化の援けとなります。例えば鹿島建設では、webカメラやレーザースキャナーで現場の状況をデジタル上で認識できる様にし情報の集約化を行いました。そのデータを利用して自動検査や遠隔管理、自動搬送などの業務の自動化を実現に向けて開発しています。

 

2.建設業界で最も効果的で初めに導入するべきDXとは

DXで業務効率化をしたいが、まずは何から取り入れ、どんなDXが業務効率化に最も効果があるか分からないと思います。最も効果的で第一に取り入れなければならないDXは、BIMを活用したDXです。最も効果があり、初めに取り入れなければならない理由を説明します。

 

BIMとは

そもそもBIMとは何でしょうか。定義を分かりやすく説明しているサイトがあった為、引用します。

BIMとは、「Building Information Modeling」の略で、情報を持った3Dモデルを一つ作ることで、平面図や立面図、断面図など複数の図面が自動生成されるだけでなく、設計から施工までのワークフローに情報を活用できるシステムのことです。BIMは平面図から作るのではなく、それぞれが高さや幅などの情報を持った建材パーツや建具などを3Dモデルとして組み立てていきます。
これらのパーツには寸法値のデータだけでなく、施工方法や施工時間、積算に必要な材料のデータまでもが盛り込まれています。
こうしたパーツを組み合わせて出来上がった3Dモデルには、設計データから施工方法、施工期間、積算情報までが集約されているので、設計から施工までの全てのデータを一つのモデルから取得することができます。
つまり、一つの3Dモデリングによって建築のワークフロー全ての情報を集約できるということが、BIMの最大の特徴にして最大のメリットになります。

BIMとは?BIMの意味や類似語との違いなどを徹底解説! | キャド研 (cad-kenkyujo.com)

 このように、BIMは設計段階で様々な検討とシミュレーションができる為、情報の集約化と業務の自動化の基礎となります。ここを抑えずして建設業のDXは始まりません。まずはBIMを導入する必要があります。

 

BIMを有効活用したDX

BIMは設計段階から詳細な施工図レベルの図面作成やおさまり検討、3Dモデルを利用した構造計算や環境シミュレーションなどができます。BIMを利用して設計段階から緻密に検討しておくことで、積算や施工管理時に大きな変更が無くなり手戻りや無駄な検討事項が減少し大きな業務効率化につながります。これらがどの程度の利益をもたらすか、オートデスク主催の「BIM の定量的効果(The Financial Impact of All-In BIM)」と題するワークショップで検証が行われています。検証の結果、200億円の建築プロジェクトを例に試算したところ、BIM による利益創出効果は工事費の 10% になると想定されています。

 

3.会社にBIMのDXを取り入れる方法

BIMで3Dモデルを設計時に作れば業務効率化ができるって事だな、と焦って取り入れないでください。BIMのDXは会社のビジネスモデルを大きく変えます。その為、導入の仕方を間違えると利益どころか大きな損害が発生します。では、どの様に導入していくべきか解説します。

 

BIMのメリット・デメリット

BIMのメリットは先ほど説明しましたが、一番意識しなければならないことはデメリットです。BIMのデメリットは、設計図を3Dで書くとコストが大幅に上がります。コストが上がる理由は、1つ1つ部品情報を図面に認識させたり、設計段階から施工図レベルの作図を行う必要がある為です。またBIMで書いた設計図を変更する場合は、通常より情報量が多く図面を書きなおす為に多大な労務が掛かります。また全てFIXして作図しているため、変更があるとバランスが崩れて大きな変更となることが多いです。これがBIMの最大のデメリットになります。

✔ BIMのメリット

  • 一つの3Dモデリングによって建築のワークフロー全ての情報を集約できる
  • 検討するべき事項が設計段階でほぼ全て解決でき、現場変更が少ない
  • パースの作成が不要で3Dモデル上で完成状況を確認でき打ち合わせも円滑になる

 

✔ BIMのデメリット

  • 設計図の作図コストが大幅に上昇
  • 設計時に完璧なシミュレーションとおさまり検討が求められる
  • BIMの設計変更はすべてのバランスが崩れ大きな変更になりやすい
  • 設計変更は通常より多大な労務が掛かる

 

このようにBIMは設計時に通常より労力をかけてほとんどの検証を済ませてプランやおさまりをFIXしておくことで積算時、施工時の管理を楽にする為にあります。ただしもし設計時にしっかりとした設計図を作成できていないと、施工時の負担が通常より大きく上昇してしまいます。

 


ビジネスモデルの変更を周知

BIMは設計時にシミュレーションと施工図レベルの図面の精度が必要な事を説明しました。しかし建設業の従来のビジネスモデルでは設計図は全ての情報が載っておらず、現場変更ありきです。これを設計時に全てFIXし施工図レベルの図面を作図し設計変更は基本ないものと、施主や協力会社、社内の設計をはじめ関係部署に周知し協力を要請する必要があります。ここがBIMのDXの最大の難所になります。施主にはプラン変更等の大きな設計変更はできない事を理解してもらう必要があります。協力会社は指定の3DCADソフトで作図依頼をする必要があります。社内の設計部は施工図レベルの図面を作図させる必要があります。これらの問題を解決して初めてBIMのDXの導入ができます。

 

3DCADソフト「revit、rebroの導入」

最後に、3DCADソフトは建築であればrevit、設備であればrebroを導入する必要があります。これを導入するメリットはまずこの2つのソフトは連携できます。更に施工図レベルの図面も直感的に書くことができ、様々なシミュレーションにも対応しています。部品毎に情報を持たせやすく簡単に作図する事が可能なため、BIMで使用する場合はこのソフトが必須となります。

 

いかがだったでしょうか。建設業のDXで業務効率化ができるのか解説しました。皆さんの会社のDXが進む事を祈っております。

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