鹿島建設はDXで何を目指しているの?
どんなDX事例があるの?
DXで将来どうなる?
こういった疑問に答えます。
✔ 本記事の内容
- 鹿島建設がDXで目指す未来
- 鹿島建設のDX事例まとめ
- 近い将来、鹿島建設がDXで実現するビジネスモデル
この記事を書いている僕は、大学で電気情報学科を卒業し、ゼネコンに入社。設備技術員として設計・積算・工事と経験してきました。「ITを使い業務変革すれば楽になるなぁ」と考えながら10年間働いてきましたので、今、スーパーゼネコンが取り組んでいるDXの内容もインターネットにある僅かな情報からでもある程度、推察する事ができます。そんな私が、建設業界のDXについて解説します。
1.鹿島建設がDXで実現する未来の働き方を分析しました
鹿島建設は、2020年8月25日付けで経済産業省が定めるDX認定制度に基づく「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020 」に選定されました。 DX銘柄 は、東京証券取引所に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を「DX銘柄」として、業種区分ごとに選定して紹介するものです。経済産業省が選定するほどのDXを行う鹿島建設が目指す未来の働き方の形を経営戦略とDX事例から分析しました。
鹿島建設がDXで実現する未来の働き方はこれ!
鹿島建設がDXで実現する未来の働き方は、鹿島スマート生産により、現場の作業の半分はロボットと行い、管理の半分は遠隔、全てのプロセスをデジタル化しています。またBIMにより、詳細な仕様決定や図面上の干渉・不整合箇所の確認と修正作業の迅速化、施工ロボットや現場管理ツールとのデータ連携による省人化をしています。更にデジタルツイン(仮想竣工・運用)により、建物の企画・設計から施工、竣工後の維持管理・運営までの各情報を全てデジタル化。それらを仮想空間上にリアルタイムに再現する事で工事管理や維持管理に役立てています。土木工事では自動化建設生産システムにより、管制室から複数の建設機械に作業指示を出し、自動化された建設機械が無人で自律・自動運転を行います。これらの内容は、鹿島建設の中期経営計画(2021~2023)にて550億円の投資を行い、推進していく記載があります。
鹿島建設の中期経営計画(2021~2023)
鹿島建設の中期経営計画に記載される「投資計画(R&D・デジタル)」に次世代建設生産システムと新分野(デジタルツイン・スマートシティ)に550億円の投資を行い戦略的に推進していきます。次世代建設生産システムは、鹿島スマート生産が主軸にあり、コアコンセプトととして「作業の半分はロボットと、管理の半分は遠隔で、全てのプロセスをデジタルに」を掲げています。鹿島スマート生産は、2018年11月12日においてすでに現場で実証する18の項目があり、2025年を目標として実用化された技術を全国の現場に展開していくとの事です。(出典:鹿島スマート生産ビジョン)
実証する18項目
- 鉄骨溶接ロボット(柱全周・梁上向き)
- ドローン自動巡回システム
- 耐火被覆吹付ロボット
- 搬送管理システム
- コンクリート押えロボット
- 現場内モニタリングシステム(ウェアラブル/固定カメラ)
- ウェアラブルバイブレータ
- バイタルセンサー体調管理支援システム
- 外装取付アシストマシン
- BIM/出来形検査連携システム
- 疲労軽減アシストスーツ
- BIM/VR活用(もの決め、安全教育)
- 鉄骨建方精度モニタリングシステム
- BIM/ARチェックシステム
- 資機材位置・稼働モニタリングシステム
- BIM/鉄筋加工連携システム
- 顔認証入退場管理システム
- 技能伝承システム(ノウハウ収集活用)
デジタルツイン・スマートシティ
鹿島建設では、建物の企画・設計から施工、竣工後の維持管理・運営までの各情報を全てデジタル化し、それらを仮想空間上にリアルタイムに再現する「デジタルツイン」を推進しています。2020年5月に日本で初めて建物の全てのフェーズでBIMによる「デジタルツイン」をすでに実現しています。鹿島建設では、2030年代を目標に都市全体のフルデジタルツイン化を推進していきます。フルデジタルツイン化する事で、自然、エネルギー、資源循環、防災、インフラ、農業などの都市全体のシミュレーションが期待されます。
2.鹿島建設のDX事例まとめ
鹿島建設は経営戦略に基づき、様々なDX事例を発表しています。その中でも特に有望なDX事例を設計補助、ロボット、現場管理に分けてまとめました。
設計補助のDX事例
■鹿島スマート生産「全てのプロセスをデジタルに」
設計図は、BIMを基軸としたデータ連携を行い,作図やもの決めの迅速化,製造や施工における手戻りや手待ちといった無駄の削減につなげる。さらにBIMに「数量」と「時間軸」という次元を追加し、積算や現場管理の効率化を目指す。
ロボットのDX事例
■ A4CSEL
A4CSEL(クワッドアクセル:Automated/ Autonomous/ Advance/ Accelerated Construction system for Safety , Efficiency , and Liability)は、管制室から複数の建設機械に作業指示を出し、自動化された建設機械が無人で自律・自動運転を行います。作業員の高齢化や作業員の不足の問題を解決し、生産性・安全性の向上を実現する施工システムです。
■鹿島スマート生産「作業の半分はロボットと 」
実証する18の項目が実用化され次第、全国の現場に展開していく 。
■「NEWコテキング」でコンクリート打ちの仕上げ作業を自動化
作業者がタブレットで設定すると、自動で動作します。既に現場への展開を進めている段階で、AIによる制御機能を新たに開発中との事です。
現場管理のDX事例
■3D K-Field
現場内の空間をビーコンで位置情報を取得し、BIMモデルを使用した3Dのマップに表示し、施工管理を効率化する。資材のスペースの確認など現場の見える化により無駄をなくせるとの事です。
■内装・建具工事進捗管理システム
内装工事進捗管理システムは、作業員がスマートフォンから「部屋番号」と「完了工程名」を送信すると、進捗管理システムの管理表を更新し、同時に次の工程の担当者のスマートフォンに通知するものです。これにより、元請けも協力会社もモバイル端末等からリアルタイムで確認できる。
■「Microsoft Power Platform」を活用。現場における組織をまたぐ課題解決に挑む
デジタル上で現場の進捗管理を行います。
■「鹿島ミラードコンストラクション」デジタル上で部材ごとの施工進捗率も把握可能
「鹿島ミラードコンストラクション(Kajima Mirrored Construction、以下KMC)」を構築しました。KMCは着工前に作成するBIMと施工中の建設現場に設置したセンサー等で取得する空間データを組み合わせてさまざまな二次データを生成します。これらのデータを用いることで施工中の建物を可視化し、工事の進捗を把握することが可能となりました。
■「現場」で役立つクラウドカメラサービス
現場管理を、カメラやセンサーを組み合わせ遠隔で行います。2024年度には管理の半分は遠隔を目指しています。
3.鹿島建設がDXで実現する未来のビジネスモデル
鹿島建設は、DX銘柄2020に選定されるほどDXを推進しています。そんな鹿島建設が目指す未来のビジネスモデルを予測します。
鹿島建設の将来の設計
鹿島建設の将来の設計は、デジタルツインにより、BIMで設計段階で施工図レベルの図面をつくり込む事が当たり前となっています。これにより設計の負担が増加しますが、負担を軽減するために、施工中や竣工後に得られる実績データやノウハウを設計・施工計画にフィードバックする仕組みを構築しています。これにより従来よりスピーディかつ正確な設計が実現でき、設計段階から施工図レベルのBIMを作図する事が可能となります。
鹿島建設の将来の現場管理
鹿島建設の将来の現場管理は、 現場に出る機会が減り遠隔で施工管理する事が多くなります。現場内の空間の位置情報を3Dのマップに表示し、現場のスペースや資材、人の作業情報が常に確認できます。また現場の施工前の空間をデジタルで認識する事で、施工後の情報を実際の現場に重ねる事ができ施工を可視化する事が出来ます。そして施工の進捗管理はデジタル上で全て行う事ができ現場確認の必要がありません。また現場内はカメラやセンサーが設置されていて遠隔で確認する事ができます。
企業 | 鹿島建設 |
社内 | 〇 |
設計補助 | △ |
ロボティクス | 〇 |
現場管理 | 〇 |
保守管理 | 〇 |
鹿島建設の経営戦略とDX事例は非常に優秀です。特に現場管理、ロボット、保守管理に対するDXが優れています。しかしデジタルツインは得られるメリットが多い反面、設計に対して通常より大幅な手間とコストが掛かる点をどの様に解決するか課題がある様に感じます。以上より、鹿島建設は革新的なDXが多く、将来性はとても高い様に感じます。
いかがだったでしょうか。鹿島建設の経営戦略とDX事例が示す未来を想像してみました。将来の鹿島建設の働き方は先進的に感じられた方も多いと思います。 これからの建設業の方向性を少しでも感じて頂ければ幸いです。また私も転職しましたが、中小ゼネコンから転職を考える方も増えている様です。私が利用した転職サイトを参考で載せておきます。
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