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竹中工務店がDXで実現する未来の働き方とは

竹中工務店はDXで何を目指しているの?
どんなDX事例があるの?
DXで将来どうなる?

 

こういった疑問に答えます。

  

✔ 本記事の内容

  1. 竹中工務店がDXで目指す未来
  2. 竹中工務店のDX事例まとめ
  3. 近い将来、竹中工務店がDXで実現するビジネスモデル

この記事を書いている僕は、大学で電気情報学科を卒業し、ゼネコンに入社。設備技術員として設計・積算・工事と経験してきました。10年間、「この業務はITを使い業務変革すれば楽になる」そんなことを考えながら働いてきましたので、今、スーパーゼネコンが取り組んでいるDXの内容もインターネットにある僅かな情報からでもある程度、推察する事ができます。そんな私が、建設業界のDXについて解説します。

  

1.竹中工務店がDXで実現する未来の働き方を分析しました

竹中工務店は、2021年7月1日付けで経済産業省が定めるDX認定制度に基づく「DX認定取得事業者」に選定されました。DX認定取得事業社は、企業価値の向上のため経営者が実践すべき事柄である「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項を満たす企業を、「情報処理の促進に関する法律」に基づき国が認定します。国が認定するほどの画期的なDXを行う竹中工務店が目指す未来の働き方の形を経営戦略とDX事例から分析しました。

 

竹中工務店がDXで実現する未来の働き方はこれ!

竹中工務店がDXで実現する未来の働き方 は、現場を丸ごとネットワーク化し、ロボットを連携する事で自動・遠隔運転による自動施工や自動搬送、遠隔巡視を実現します。またBIMを活用し、設計図をAIを用いて施工図レベルまで作り込み設計変更をほとんど無くします。設計時にBIMを作りこむ事で、デジタル施工管理技術を最大限活かし現場負担の軽減を実現します。これらの内容は、コーポレートレポートと竹中新生産性システムにて説明されています。

 

コーポレートレポート

竹中工務店のコーポレートレポートに、建設プロセス改革と多様な働き方の実現という項目があり、次世代の革新的な建設現場を目指して主に4つの内容に力を入れていくとあります。

 

次世代の革新的な建設現場を目指して 取組む4つの内容

  • 作業所ニーズを合致した、作業をサポートするロボット開発
  • 操作運用を簡単にするロボットプラットフォームの構築
  • 遠隔操作技術でリモート作業を推進(TawaRemo)
  • 場内通信インフラの構築(TSUNAGATE)

 

4つの内容を簡単に要約すると、現場をネットワーク化する事で、ロボットと連携し自動・遠隔運転を実現します、と言っています。

 

竹中新生産性システム

出典:竹中工務店

竹中工務店では、竹中新生産性システムというBIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化事業を2020年からスタートしています。このシステムは協力会社との連携やBIMの活用により、設計段階から施工図レベルの作りこみを図り、着工までに必要なものを全て決める事で工事期間中は最新のデジタル施工管理技術をフル活用する事ができ、現地作業を最小化するビジネスモデルを構築するチャレンジに取り組んでいます。この活動は2025年のめざす姿として設定され、2020年着工プロジェクトから順次展開しています。

 

2.竹中工務店のDX事例まとめ

竹中工務店では経営戦略に基づき、様々なDX事例を発表しています。その中でも特に有望なDX事例を設計補助、ロボット、現場管理に分けてまとめました。

 

設計補助のDX事例

■「StreamBIM」

竹中工務店では「StreamBIM」を導入しています。BIMモデルを中心に書類管理やワークフロー管理を行うBIMクラウドプラットフォームで、PC、スマホ、タブレットなど様々なデバイスでBIMモデルを見ることができるとともに、2D図面を含めた様々な情報のドキュメント管理が可能であるという特徴をもっています。更にその情報を活用し、設計・施工段階から維持・管理段階までのすべての関係者のコミュニケーションの円滑化および可視化を可能とします。竹中工務店では、すでに50を超える建設現場で活用しているとの事です。

■300年分のデータを建築物の設計・提案に生かすためのデータ分析プロセスを自動化

AIなどで活用するためにデータ連携基盤を導入し、データ分析プロセスの自動化を図った。これにより、設計図の作図補助や自動設計に大きく貢献していくと思われます。

■構造設計システム「BRAIN(ブレイン)」構造設計を70%効率化

2001年に自社開発した構造設計システム「BRAIN(ブレイン)」のデータを基とし、AIシステムのプロトタイプを開発しています。HEROZのAIプラットフォームと、BRAINに蓄積された竹中工務店の数百件の設計データ群を利用し、深層学習などによりAIシステムを開発します。その後、このプロトタイプを構造設計者たちが育成していくことで、2020年までに実務上で利用できる自動設計やシミュレーションの自動化手法を確立し、構造設計のルーチン作業の70%削減を目指す方針との事です。

 

ロボットのDX事例

■タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo」

竹中工務店と鹿島建設は、アクティオ、カナモトと共同で、遠隔でタワークレーンを操作できる「TawaRemo」を開発しました。地上に設置した専用コックピットから、名古屋に設置した大型タワークレーンを操作し、材料移動、積み込み・積み下ろし作業等の遠隔操作が可能であることを確認しました。また2021年4月に都内で施工中の建築工事に初適用されました。使用感は従来と変わらず操作ができるとの事です。また実工事への適用は国内初です。

■ドローンとAIを活用した高層建物の外壁調査「スマートタイルセイバー」を実用化

竹中工務店では、ドローンを使用した外壁調査が実用化されました。ドローンで撮影した赤外線画像をもとに自動判別できる様になりました。外壁調査にドローンを使うことで、仮説現場の設置などにかかるコストを削減するほか、人が高所で作業する手間も解消します。人の感覚に頼らず、高精度な調査も可能にします。ロボットを使用したファシリティマネジメントの部分も進んでいる様です。

■BIMデータを活用し、ロボットの操作・監視・管理を効率化するプラットフォームを開発

これは、作業所で働くロボットを、クラウド上で一括管理するプラットフォームです。
建設業界の汎用プラットフォームとして提供することを目指して開発されました。ロボットの自律走行と遠隔指示のための地図情報にBIMデータを活用しています。
多数のロボットを同一プラットフォーム上で操作・監視・管理ができるようになります。クラウドなら、現地でなくとも遠隔でバッテリー状態や異常状態の監視ができ、ソフトウェアの更新も容易に行えます。(参考:建設ロボットプラットフォーム|竹中工務店 (takenaka.co.jp)

 

現場管理のDX事例

■高所作業車の総合管理アプリ「高車管理」を開発、「位置プラス®」シリーズにて外販開始
建築現場向けのアプリ「位置プラス」シリーズの新ラインアップとして、建築工事における高所作業車の位置や予約等を総合的に管理できるアプリ「高車管理」を開発し、グループ会社の朝日興産(社長:岡田恒明)を通じて7月1日より外販を開始します。高所作業車の位置情報や予約状況がモバイル端末やPCからリアルタイムで確認できることから、元請、協力会社、レンタル会社の作業手間が低減されるとともに、高所作業車のレンタル・運用コストが削減できます。(参考:竹中工務店

■建築現場の生産プロセス最適化

現場の人、モノ、空間のデータをデジタル収集する事で、現場の作業進捗といったプロセス管理がデジタル上でできる様になります。実現にはドコモの5G・IoTを利用しているとの事です。この技術により、現場で1つ1つ確認していた作業が遠隔で確認でき、作業指示やプロセスもデジタル上で指示できる様になるでしょう。

■DXの拡大に伴うサイバーセキュリティの強化

DXの取組みで、デジタル上でさまざまな機器が接続される様になるのでそれを見越してセキュリティを強化していくとの事です。

■「EQ House」

建物や車などとコミュニケーションが取れる様になる技術の様です。この技術により様々なものに建物を媒介してデジタル上でアクセスできる様になる様です。

  

3.竹中工務店がDXで実現する未来のビジネスモデル

竹中工務店は、 DX認定取得事業者に選定されるほどの明晰な経営戦略と竹中新生産性システムの推進により、隙のない変革を実行し続けています。経営戦略とDX事例から竹中工務店の未来のビジネスモデルを予測します。

 

竹中工務店の将来の設計

竹中工務店の将来の設計は、BIMで設計段階で施工図レベルの図面をつくり込む事が当たり前となっています。これにより設計の負担が増加しますが、負担を軽減するために、300年分の建築データを分析したAIが設計補助として自動で作図し、設計提案を行います。また構造設計もAIに処理させることで構造計算の負担を70%以上軽減することができます。これらの設計補助により、従来よりスピーディかつ正確な設計が実現でき、設計段階から施工図レベルのBIMを作図する事が可能となります。

 

竹中工務店の将来の現場管理

竹中工務店の将来の現場管理は、 現場に出る機会が減り遠隔で施工管理する事が多くなります。現場の隅々までネットワークが張り巡らされ、ネットワークに接続されたロボットが設計段階で作図された正確なBIMを認識する事で現場内を自動運転し作業を行っています。また機器の位置や作業の進捗もアプリで管理され現場を隅々まで巡視する必要はありません。タワークレーンは遠隔でそうさでき、操作者が危険にさらされる事はありません。作業員はウェアラブル機器を装着しネットワークでバイタルデータを常に収集分析して、熱中症や危険予知による事故を未然に防ぐ事ができます。工事現場全体から集まるデジタル情報をAIで分析し、自動で最適な工程を割り出す事ができ工程表の修正も従来より正確にスピーディに対応する事ができます。

 

企業竹中工務店
社内
設計補助
ロボティクス
現場管理
保守管理
竹中工務店が取組むDXの将来性

竹中工務店の経営戦略とDX事例は非常に優秀です。特に設計や現場管理、ロボットに対するDXが優れています。ですが、ファシリティマネジメントに対するDXの情報が少なくやや弱い印象があります。ですが、DXへの取組みから将来性はとても高い様に感じます。

 

 

いかがだったでしょうか。竹中工務店の経営戦略とDX事例が示す未来を想像してみました。将来の竹中工務店の働き方は先進的に感じられた方も多いと思います。これからの建設業の方向性を少しでも感じて頂ければ幸いです。

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